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南沙良 in 御茶ノ水〜神保町
写真・文 飯田エリカ

 撮影の日は雨だった。

 久しぶりの御茶ノ水で南沙良さんを。傘をさして御茶ノ水駅周辺で、なんだか色々話をしながら撮影した。「晴れ女なんだけど、さすがに梅雨には勝てなかったな」ということを話したら、「私もなんです!」と。なんだか悔しいよね、と撮影は始まった。

 朝はかなりの大雨だったものの、なんとか小雨になってくれた。

 青い服がとても似合うので、雨の風景もとても似合う。彼女自身も青い服は好き、と話していた。

 駅近くの立派な建物、ニコライ堂を背にして。

 御茶ノ水がはじめて、ということでニコライ堂にも驚いていた彼女。私は通っていた高校の課外授業でスケッチをしに来たことがあったので懐かしさを感じていた。

 「普段のお休みはどこ行くの?」と最近の高校生はどこで遊ぶのかなあ、という素朴な興味で聞いてみたものの「特にどこかに出かけるよりも家で本を読んでいたり、映画を見たり、アニメをみたり」と、インドア派な様子。

 映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で南さん演じる志乃ちゃんは、自分の名前がうまく言えないそのわけを理解されずに笑われてしまう、そんな苦しみの最中にいる女の子で、目の前で笑いながら話す彼女とは大きなギャップを感じる。だけれど、映画の中に映っている強さと、私がカメラを通して見た眼差しの強さには、確かに同じ彼女から発せられている眩しさを感じた。

 クライマックスシーンでのお芝居は、彼女が本当に映画の中を生きたことを感じられるものだった。「女優さんになりたくてこの世界を目指しました」と話してくれた。綺麗な紫陽花が咲いていた。

 神保町の絵本屋さん、ブックハウスカフェへ。

 高校生のとき、何度もきていたお店。久しぶりに訪ねることができたご縁に嬉しくなった。

 「小さいときに読んでた!」という絵本もたくさん。

 はじめての絵本専門店、とても楽しそう。

 しばらく来ない間にカフェスペースも。絵本を読みながらお茶ができるなんてとても素敵でときめいた。絶対にまた来たいと思って、撮影後に高校のときよく一緒に来ていた友達に興奮気味に連絡した。

 南さんはホットミルクを注文。カフェスペースのソファ、風船もとても可愛い。

 雨の中での御茶ノ水散策は少し肌寒かったので、ホットミルクで温まって一息ついたところで撮影は終了。今度は晴れ女同士、晴れた日に会いましょう。

南沙良(みなみ・さら)

2002年6月11日生まれ。神奈川県出身。第18回nicolaモデルオーディションのグランプリを受賞、現在も雑誌「nicola」専属モデルとして活躍。一方、女優としてはデビュー作『幼な子われらに生まれ』(17/三島有紀子監督)に出演、主人公・信(浅野忠信)の再婚相手の連れ子という複雑な役どころを演じ切り、報知映画賞、ブルーリボン賞新人賞にノミネートされるなど、高い演技力で注目を集める。また、行定勲が監督を務めた伝説的ロックバンド・レベッカ17年ぶりの新曲「恋に堕ちたら」のMVに主演、透明感あふれる存在が話題となった。映画初主演作となる『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(東京・新宿武蔵野館ほか公開中)では、澄み切った歌声を初披露している。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』

新宿武蔵野館ほか公開中

公式サイト: http://www.bitters.co.jp/shinochan/

© 押見修造/太田出版 ©2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会

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